#08設計事務所アーキプレイス

京王新線初台駅。
西新宿の新宿パークタワーを背に、オペラシティを右手に眺めながら甲州街道を幡ヶ谷方面へ歩くこと、約10分。
設計事務所アーキプレイスの事務所があります。

アーキプレイスは、石井さん、近藤さんのユニット。
場所が持つ特性をじっくり読み、住む人がどんな暮らしをしたいのか耳を傾け、的確に汲みとる。
そうして場所と住む人を結ぶようにつくり出された空間には、アーキプレイスのエッセンスが宿ります。

豊富な実績がありながらも、常識にとらわれずに仕事に向かうことを大切にしているお二人に、まずは一緒に設計事務所をやることになったきっかけを聞いてみました。

石井
僕は一人で事務所をやっていたのですが、そのときに自分一人では型にはまってしまって発想が広がらないような気がして、なんとなくパートナースタイルを考え始めていました。設計の話が増えてきたタイミングもあって、もともと知り合いだった近藤に声を掛けたんです。
近藤
ちょうどそのころ、わたしも長く勤めていた設計事務所を離れて、新しいところへ移りたいなと考えていました。

―つまり、お互いのタイミングが合ったというわけですね。
パートナーとしてすでに10年近く一緒にやっているわけですがやはり長く続いているだけあって、最初からお互いに共感できたり、相性はぴったり合っていたのでしょうか?

石井
最初は、そうでもないよね(笑)?
近藤
うーん、相当話し合った結果ですね(笑)。今はあうんの呼吸かな(笑)?
石井
3年くらい経って、だんだんとお互いの良さや考え方が違うところを、うまく組み合わせることができるようになってきたんじゃないかな。
近藤さん(左)と石井さん(右)

―お互いの良さ、と言うと、どんなところですか?

石井
僕は話していると、わりとまじめでかたい方向に行ってしまいがちなんですが、近藤は建て主さんに言いにくいことでも、思ったことをパッと言えてしまう。それなのに嫌われないんです。むしろ相手には正直に話してくれると好印象を与えるようで、場もなごむんですよ。
近藤
石井は大型物件の経験があり、技術的にも知識が豊富です。前の事務所では自分で考えて進めなければならなかったので独自のスタイルが身についてしまったようなところがあるのですが、石井と一緒にやり始めてからは、いろいろ勉強になることも多いですね。

お互いがちがうキャラクターであり、それぞれの長所を組み合わせてプラスに転じることができたとき、初めてパートナースタイルの良さが生まれてきます。
またお二人は、建築家のユニットとしてはとても珍しい、ご夫婦ではない、独立した男女のペアでもあります。

石井
建て主さんは男性と女性、二人のことが多いから、打合せしていると当然、男性と女性の意見の違いが出て来ます。
近藤
女心、男心っていうのは、お互いに汲み取りにくいので、どちらかを大切にすると、どちらかがないがしろになってしまうようなところがあります。石井だけだと男性寄りになってしまいそうになるのを、わたしが女性寄りに引き戻すという感じで、バランスをとっています。
石井
それに男性と女性では、たとえ同じ結論だとしても、そこにいたるまでの考え方も違うんですよね。男性だと論理を積み重ねて答えに行きつくけれど、女性はもう少し感覚的なものを大切にして判断していくでしょう。
近藤
そのあたり、建て主さんがどうしたいのか、なぜそう考えるのかを、それぞれが汲みとったりしていますね。

男性と女性のペアだからこそ、男性と女性が一緒に暮らすのにちょうどよい、バランスの良い住空間を提案できるということですね。
またご夫婦ではないからこそ、客観的にご主人と奥様のそれぞれのニーズを引き出すことができるのかもしれませんね。

―プライベートでも、お客様とはお付き合いを続けていらっしゃいますか?

近藤
建て主さんたちとは、がっつりというよりは、ほどほどのお付き合いをさせてもらっています。
石井
こそうだね。今でもお酒を一緒に飲む、という感じではなくて、たとえば新しい建て主さんの家が竣工してオープンハウスの案内を出したりすると、前の建て主さんが見に来てくれたり、雪が降れば、庭や家の雪景色の写真をメールで送ってくれたり、というような。そういうお付き合いは続いていますよ。
近藤
わたしたちのところに相談に来られるお客様は、いろいろと思われていること、考えていることはあるけれど、シャイと言うか、あまり自己主張を強くされないタイプの方が多いかも知れません。

付き合いの距離感のここちよさは、ひとそれぞれ。
家づくりのプロセスを共有して、本音が言えるような仲になったという人もいれば、ときどきふと、この家をつくってくれたひとのことを思い出す、という間柄だってあります。
家づくりのパートナーである建築家とは、そのあたりも含めて長く付き合えるような相手を選べると良いですね。

石井
前に、ある建て主さんから工事中に花火大会があるからと、バーベキューパーティーに誘ってもらったことがありました。
近藤
その家には、花火が見えるバルコニーを計画していたので、ほんとうに花火が見えるかどうか確認できるな、と思って行ったんです。
石井
バルコニーからはもちろん、二人の娘さんのそれぞれの部屋の窓からも別々の花火大会が見えて、娘さんたちも大喜びしてくれました。偶然ですが、その日は二つの花火大会が同時に開催されていたみたいです。
近藤
誘っていただいて、ケーキ作りが趣味のご主人にもジャンボプリンをふるまってもらったりして(笑)。それだけでも嬉しかったですが、あのときは想像以上に花火がキレイに見えて、良かったです。

―それも、2か所というのが驚きですよね。
春の桜、夏の花火、秋の紅葉、冬の雪景色。
うつろう季節によって、見えるもの、見える場所もまた変わります。
それらが美しく見える瞬間が、そこで暮らす建て主さんたちの日常のどこかにあるといい。そういう思いを込めて、建築家は窓を切り取ります。
そして時には、その窓から誰も想像もしていなかった光景が贈られてくることも・・・!
なんだか、石井さんと近藤さんが、建て主さんからプレゼントをもらったようですね。

石井
僕らはたぶんこうなるだろうと想定して、窓の位置や空間を設計するのですが、最終的にそれがどうなったかを見ることなく、建て主さんへお引渡しすることになります。それだけに、そこで実際に暮らしている建て主さんからその様子の写真を便りでもらったりすると、本当にうれしいです。

これから建築家との家づくりを考えているお客様へ、メッセージがあればどうぞ。

近藤
建て主の方によって、家に求めるものは異なりますので、ニュートラルな感覚を持って、その方が気持ち良いと思えるものを提案させていただきたいです。
石井
それから、場所によっても出来上がってくる空間が異なってきます。ですから、建て主さんには、その場所ならこんな暮らし方ができるんですよ、という提案をしたいですね。子どもが大きくなったときに、ここで育ってきて良かったなあと思えるような。建物は、その背景としてあればいいと考えています。

住宅の主役は、建て主さんであり、住宅の根底には、その場所がある。
その二つにきちんと耳を傾けることが、そこに暮らしてみて良かったと思える家をつくることにつながるのでしょうね、

最後に、設計事務所アーキプレイス スタッフさんを交えて記念撮影。

今回のインタビューは設計事務所アーキプレイスさんでした。
石井さん、近藤さん、設計事務所アーキプレイスのスタッフの皆様、ありがとうございました。