住宅探訪vol.02 「大井町の住宅」を訪ねる

中村和基 出原賢一 LEVEL Architects
中村和基 出原賢一
LEVEL Architects
都市型狭小3階建て住宅の構造に
SE構法(SE工法)が典型的に適していたことを実感しました
イメージ:2階のキッチンよりリビング方向を見ています
2階のキッチンよりリビング方向を見ています。天井が低い部分はダイニングスペース。その上部は3階レベルとなるテラスで、光を導いてくれます。

イメージ:2階リビングよりキッチン方向を見る
2階リビングよりキッチン方向を見る。

都市に棲もう


今回訪れたのは、中村和基さんと出原賢一さんが共同主宰するLEVEL Architectsによる「大井町の家」。間口2間で敷地面積17坪という南西の角地にこのホワイトキューブは建っている。建主様はまず、ハウジングメーカーや工務店に相談したが、予想されていたこととはいえ都市に棲む覚悟を決めたことに見合う案に出会うことができずにいた。その後の中村・出原両氏との出会いにより、ほぼ現状に近い提案を得、大いに魅力を感じ計画はスタートしたという。

間口2間では短手方向に階段を置くと折り返さなければ各階の行き来ができない。螺旋階段は常套手段。後は、1階のガレージの確保と玄関の入り、螺旋階段の位置とを検討すると必要居室の配分でだいたいのプランは決まってくる。ここからが勝負だ。決められた空間の中で、広がりや抜け、多様な空間のあり方と明るさ、プライバシーが保てかつ閉塞感を極力抑えるといった空間構成のための検討作業が繰り返されたであろう。狭小敷地の木造3階建てというのはそういうものだ。答えは1階と3階の階高を抑え、2階に可能な限りの空間を採る。その中央部でダイニングの分だけ天井を落として上部から光を入れる。その奥となる北側で2階部分の階高をキッチンとロフトで分ける。実に北側は4層となる。現場に立つと「家中で一番ずっといるスペースです」と建主様が教えてくれる最奥のロフトは実に居心地がよい。ロフトからは中庭様のテラスを介して先のリビングの吹抜が見え、視線のつながりを邪魔することのないシンプルに見せるデザインと穏やかな暗さをもつささやかなスペースから、日の差し込むのびやかなスペースを眺めることで、数字以上の広がりと高いプライバシーが確保されている安心感を得られる。
イメージ:1階玄関スペース
1階玄関スペース。
イメージ:南側となる全面道路側外観
南側となる全面道路側外観。
図面:南立面図
南立面図
図面:断面図
断面図

図面:3階平面図
3階平面図

図面:2階平面図
2階平面図

図面:1階平面図
1階平面図

「鉄骨造も検討しましたか?」と問うと、当初検討したがコスト的に合わず、SE構法(SE工法)といくつかの金物工法に絞った。そうしていくうちに「壁量を決定的に減らすことができるのがSE構法(SE工法)だけ」ということがわかり、SE構法(SE工法)でいくことになったという。デザイン的にも必要と思われる壁しか柚壁が出ていないのは、間取り図をみれば理解できる。

「都市型狭小3階建て住宅の構造にSE構法(SE工法)が典型的に適していたことを実感しました」という彼ら。他に何かありませんかと問うと「プレカットなのでミスも少なく、柱と梁の接合部に対する不安もないですし、建て方が始まり上棟するとすでにしっかりして安定していた」と教えてくれ、続けて「概算見積が明快なので、躯体にどれぐらいコストがかかっているかがわかりました。総工費とのバランスがとれ空間の質という理由でSE構法(SE工法)を建主様に進めることができます」という。こうした発言は、都市型狭小住宅を素直に設計していくと、強度的に信頼が出来、素直な工法がそれに良くマッチしたという好例ではあるが、設計者と施工者のレベルの高さに支えられているのは言うまでもない。

ライター:佐藤勤